Motor Fan's YEAR 2016

三栄書房

NEWS

2016.12.6

今季引退のバトン特集!フィジオからみたバトンの素顔とは?【F1速報×F1女子~アブダビGP号~】

最終戦アブダビGPで幕を閉じた、今シーズンのF1。全21戦、開幕前は随分多いなと思っていましたが、終わってみるとあっという間でしたね。

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そして、ニコ・ロズベルグ選手(メルセデス)が悲願のワールドチャンピオンを獲得! ワールドチャンピオンをかけたチームメイトバトルは終始ドキドキしっぱなしで、最終戦にふさわしい素晴らしいレースでした。

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12月1日(木)発売の「F1速報アブダビGP号」はアブダビGPの模様はもちろん、今季でF1から完全に引退すると宣言し、私達ファンを驚かせたジェンソン・バトン選手(マクラーレン)の特集も見逃せません!

■CHAMPION’S VOICE ニコ・ロズベルグ

初めてF1世界選手権を制したロズベルグ選手。何度も感極まって涙を浮かべた記者会見の様子をお届けします。

── 今シーズンが自分のものになる、と思ったのはいつ頃でしたか。

「シーズンの最初には感じていた。開幕4勝したからね。でも、その時点でチャンピオンシップについて考えるのは大間違いだってことは十分分かっていたよ。なんたって、ルイスがチームメイトで、彼はいつだって応戦してくるし、本当に手強い相手だからね。でもすごいチャンスがあると思っていたし、それを掴むしかなかった。」

──プレッシャーを実感し始めたのはいつですか。

「すべてが自分の手の中にあるって感じた頃、プレッシャーを感じ出した。つまり鈴鹿の後だね。」

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──ルイスのペースがあれほど遅ければ、追い抜くこともできたのでは。

「できなかったよ。時々試してみたけど、ルイスのドライビングは本当にすごかった。ターン21からセクター1を通過して、セクター2の中盤まで全開で行くから、そこにオーバテイクのチャンスがあるんだけど、一度も近づくことができなかった。僕と同じマシンだから、高速コーナーで追い抜けるはずもないし、次のセクションでは追い越しようがないから手を引くしかない。どうしようもなかったんだ。」

──ご両親がサーキットに来ていましたね。栄光の瞬間に家族が一緒にいるというのは、どんな気持ちですか。

「まだ父と会えていないんだ。母としか話していないから、早く会いたいよ。土曜日の夜に、いつもメールしてくれるんだ。たいてい『明日は全速力で行けよ。以上!』とかね。つまりそれが彼のアドバイスってわけだ。父も母も欠かせない存在になっている。母はプライベートな生活を支えてくれているし、父はキャリアを積むサポートをしてくれている。本当に心強いよ。父が導いてくれたこと、そして一歩下がっていてくれることは、すごく助かっている。僕らにとってはそうすることがうまくいく秘訣なんだ。今日もまさに今、一歩引いて見守ってくれていることは間違いないしね。」

■ジェンソン・バトンさらば素晴らしき日々

「これが僕のF1ラストレースになるだろう」。アブダビGPのFIA記者会見で、そう切り出したバトン選手。いったい何を思い、来季以降どうするつもりなのか。鈴鹿より追跡取材した一連のインタビューから、その胸中を探ります。

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──歴代チャンピオンのなかには、頂点に上り詰めたことでレースに対するモチベーションを失った例が見られます。あなたは、そんなことはなかったですか。

「それはない。コックピットに乗り込めば、僕はいつだって自分の100パーセントを出そうとしてきた。チャンピオンになってからもずっとそうだったし、戦闘力のないマシンに乗っていても同じだった。だからこそそれが結果に結びつかないと、欲求不満がたまってしまう。でも、それでモチベーションが下がることは決してない。逆に僕は自分に対して、ずっとプレッシャーを掛け続けてきた。どんな状況でも結果を出し続ける、最高の走りを披露するんだと、自分を鼓舞し続けてきた。今回レースをやめると決断した大きな理由のひとつは、そのプレッシャーに疲れたからだった。これ以上は、もう無理だ。休息したい。そう思ったんだ。」

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──あらためて伺いますが、今回の決断は難しいものでしたか。

「もちろんだよ。ドライバーが自分の将来を考える時、現役続行か完全引退か、普通はふたつにひとつしかない。17年間は、本当に長い年月だった。たとえば僕はモナコに自宅があるけど、この17年間でモナコで過ごした時間なんて、ほんの少ししかない。だからモナコに戻っても、『ああ、帰ってきた』という気持ちは、今もまったく持てずにいる。家族にしても同様だ。僕には姉が3人いて、全部で7人の子の叔父さんなんだけど、彼らの成長を少しもフォローできていない。滅多に会えなくて、みんないつのまにか大きくなってしまっている。それだけ自分のすべてをF1に捧げてきたんだ。」

■密着 これが最後?の日本GP

バトン選手は多忙なレースウィークエンドをどう過ごしているのか。ファンとしては、とっても気になるところです。

F1速報取材班は、サーキットにおいてバトン選手を最も近くでサポートしている、フィジオ(理学療法士)兼パフォーマンスコーチの「マイキー」こと、マイク・コリアーの取材に成功! バトン選手の知られざる一面を知ることができますよ。

フリー走行が行われる金曜日。サーキットに到着したら、チームホスピタリティハウスで朝食を摂るというバトン選手。

「オムレツとサラダ、そしてブラックコーヒーと水一杯。コーヒーに入っているカフェインには、運動能力を向上させる効果があることが判明しているんだ。かつては世界アンチ・ドーピング機関によって禁止されていたけど、04年にカフェインは禁止薬物のリストから除外されて積極的に摂る人も増えているから、僕も特に制限はしていない。とはいえ、一日4杯程度にするよう注意しているよ。」

ちなみにバトン選手はコーヒー以外にもイギリス人らしく紅茶もたしなむのだとか。コーヒーの時はブラックで、紅茶は砂糖入りのミルクティーなんだそうです。コーヒーも似合いますが、バトン選手×紅茶って、絵になると思いませんか!? 思わず飲んでいる姿を想像してしまいました。

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スケジュールは同じでも、金曜日と違いがあるという土曜日。

「実はF1ドライバーはレースよりも予選の前のほうが緊張感が高いんだ。だから、予選前のマッサージは気持ちをリラックスさせるために何もしゃべらないことが多い。ジェンソンが好きな音楽を掛けているか、無音だね。気が付いたら寝ていることもあるよ。」

今年の日本GPはバトン選手にとって、厳しいグランプリとなりました。それでも、バトン選手はチームスタッフと衝突するというようなことはなかったそうです。

「ジェンソンがすごいのは、常にランニングをしたり、食事の管理を自ら行うというフィジカルな面だけでなく、感情をコントロールできるという精神的な強さを兼ね備えていること。F1は個人スポーツではなく、多くのスタッフが関わっている。さらにマシンのパフォーマンスは毎年違うし、同じシーズンの中でもアップダウンがある。だから、いくら肉体的に優れていても、精神的な強さがないとやっていけない。僕らが再会した08年はジェンソンにとって厳しいシーズンだったけど、彼はサーキットを出たら、コース上のパフォーマンスを引きずったりはしなかった。終わったことは振り返らず、常に次のことを考えているんだよ。」

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ファンはもちろん、チームメイトやスタッフ、たくさんの人に愛されてきたバトン選手。ドライビングテクニックはもちろんですが、この人柄に誰もが惹かれたのかもしれませんね。

私がF1にここまでハマったのは、バトン選手のおかげと言っても過言ではありません。来季からF1にいないと思うと、心が張り裂けそうなくらい悲しいですが、新たな人生のスタートも精一杯応援します!!

(yuri)

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